ノベツマクナシ

低所得者層にいます

1億3千万総ダイエット王国の歌詞について

渦巻く思いを書ききった名曲 一億三千万総ダイエット王国の歌詞について

アイチューンズの最近再生したプレイリストを眺めると自分の精神状態がわかると思いませんか。そこに折に触れて聴きたくなる曲がポンと入ってきて「あ、自分けっこう辛い思いをしているな」と気づくというか。
私にとってBerryz工房の1億3千万総ダイエット王国はそういう曲です。


Berryz工房『1億3千万総ダイエット王国』Berryz Kobo[130 million Diet-minded Country]) (MV)

マツコ・デラックスも言ってたように、この曲を歌いこなすことができるのは彼女達だけなんですよ。それくらいギリギリな世界観だし、説得力をもたせるだけの力がないといけない。

さて歌詞です。
1番の開始4行でもうだらしないんですよ。起きてすぐメイクする時間配分の上手くいかなさや、胃もたれするほどご飯食べて翌日にダイエットするぞと決意する計画性の無さ。自分のことじゃねえかと思うほど意識が低い。

そしてBメロ、同じフレーズを繰り返す執念と怒りを感じさせる内容で、1番の時点では「えらい皮肉っぽいなぁー」くらいですむんですが、2番になると急に見えてくるモノがあるんですよ。後述します。

そしてサビ前の嘆きと宣誓のような短いCメロ。「1億3千万総ダイエット王国」
タイトルですよ。バカみたいな名前なのに妙に予感めいた重みを増していきます。そう、増え続ける体重のように…。

1番サビ 典型的なダイエットの失敗描写。
食べたから運動しよう、運動したんだから食べとこう
色々試行錯誤しながらも「走った分だけ食べとこ」に落ち着かせるつんく♂の関西っぽさはたまりませんね。それがアイロニーとして活きている。
確実に失敗するであろうダイエット描写の果てに出るのは「楽しい夢を見てたい・未来を信じていたい」という自分へ向けた期待と「心を温めてほしい・優しさでつつんでほしい」という他者への希望です。サビの最後に連呼される「お願い」に複数の側面を持たせています。
「(お願いだから)上手くいって」と「(お願いだから)冷たくしないで」

お、重てえ~~~!!!!!!!!!!

2番の歌詞
ダイエットを始めた結果、寝坊してます。ダメですねぇ~~本当にダメ。
あっさりと次のBメロ以降するあたり、寝坊して急いでる感じがして面白いですね。

1番のBメロとは基本的な部分は一緒ですが、寝坊とダイエットに追い詰められた誰かの必死な姿が見えてきます。取り繕えない状況になって見えてくるのは、誰からも見向きもされない疎外感でした。繰り返されるフレーズに挟まれる「他人事」という言葉は寒々しささえ感じます。混ざりに混ざった怒りと悲しみと寂しさが「1億3千万総ダイエット王国」というフレーズのバカバカしさに溶け、蔑視じみた感情にまで仕上がってます。

サビ
(どうせ)見向きもされないし(どうせ)割り勘だし、食べれるもん食べとこ。こんな状態になってるんですよ。確実にダイエット失敗からのリバウンドくらい行ってるんじゃないか。

しかしながらこの曲のすごいところは最後です。何もうまくいかない悲しさと怒りを歌った曲でありながら、悲しい業で終わらせないために必要なものをそっと置いていくんですよ。つんく♂って本当に凄い。本当に。本当に凄いと思う。

1番のサビで外へ向かった求めは、怒りと悲しみの渦を巡り巡ることで、2番のサビで自分へ向かい「優しい人になりたい・この世の為になりたい」に集約されるのです。

最後に連呼される「お願い」の意味がここに来てわからなくなるのが最高ですね。私は祈りのレベルに来たなと思いました。祈りってそういうもんじゃないですか。祈る内容がなくなって、祈る行為だけが残った時に何かが生まれるというか。だって不安がなくなるってそういうことじゃないですか。ねぇ?

仏教のような円環と業が最後に本来の意味での希望へ向かうところにつんく♂性善説が見えます。誰かを愛すのと同じくらい地球と自分を愛そうというつんく♂の哲学がここに極まっている…。つんく♂ありがとう…。

いやぁ~凄い曲だ。大好き。