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ノベツマクナシ

低所得者層にいます

ヤスタカの歌詞から見るきゃりーぱみゅぱみゅの進化と深化

アイドル

今回はきゃりーぱみゅぱみゅとヤスタカが共同で練り上げていく、歌詞と共に進化していく"きゃりーぱみゅぱみゅ"について書きます。

 

ヤスタカがプロデュースするアイドル・女性アーティストの中でも、きゃりーぱみゅぱみゅは彼女本人との会話から歌詞を起こす・好みを聞くなど、彼女自身がもつイメージから外れない配慮しているフシが見られます。

さて、そんな中田ヤスタカきゃりーぱみゅぱみゅへ提供している曲の見どころは、その女の子っぷり。女の子っぷりと書くとどうしても「恋がしたい」とか「まだ忘れられないの」といった恋愛を主体にしたイメージがくっついてくるのですが、ヤスタカの女の子(きゃりーぱみゅぱみゅ編)は「恋」の前に「自分」でいることにとてもこだわっています。まるできゃりーぱみゅぱみゅ本人の心を映し出したかのように。

そしてきゃりーぱみゅぱみゅが年齢を重ねるごとにその歌詞の内容も段々と変化していってることに皆さん気づいてましたか?例としてアルバムから数曲ずつ抜いていきましょう。

 

 

まずは1stアルバム・きゃりーぱみゅぱみゅレボリューションから

つけまつける:PONPONPONよりも後に出したこの曲が実質一番目に来ている理由は、おそらく歌詞の世界観がきゃりーぱみゅぱみゅだけで完結しているからでしょう。この歌詞を読めばきゃりーがどういう人間か解ります。

「いいなーいいなーそれいいなー」「ぱっちりぱっちぱ おめめのガール」

「自信を身につけて見える世界も変わるかな」「どう見えるかどうかは心の角度次第」

といった脳が溶けそうな意味の無さと、ほんの少しのネガティブさでできています。

そして続けて3曲目PONPONPON:先ほど紹介した世界観に今度は「みんな」が加わります。歌詞自体に深い意味はありません。口に出して気持ちのいいポンポンやウェイウェイといった音を並べた歌です。ただ一曲目と同じように、要所要所きゃりーぱみゅぱみゅ自身の方向性にも似た意思表示が出てきます。

「出してしまえばいいの ぜんぜんしないの つまらないでしょ」

「あの交差点でみんながもしスキップをして もしあの街の真ん中で手をつないで空を見上げたら」

前者は素直に欲望や個性をもっと外に出したい願望、後者は自分だけがそうするのではなく、皆でそういった行動が楽しめたら良いのにという思いが、歌の軽やかさやサビでの意味の無い言葉から少し離れた所にポツポツと置かれています。この相反した思いはとてもティーンエイジ後半戦らしくて身もだえしますね。

そんなきゃりーもアルバムの曲を追うごとにバイトをしたりお酒を飲んだり仲間と共に遊ぶようになります。本当にうまいこと出来てますこのアルバム。リリース時期や製作時期はバラバラなのに、アルバム一枚を通して見るときゃりーぱみゅぱみゅの、一人の女の子としての青春時代が時系列的だと思えるほど見事な並びとなっています。

 

続けて2ndアルバム「なんだこれくしょん

きゃりーぱみゅぱみゅの認知度の増加と共に「自分とみんな」から生まれるジレンマが薄まり、今度は「キミ」が強く出現し始めます。

にんじゃりばんばん:「空を駆けるのは キミだけだから」「どんな色にもならないでキミは街を染めるよ 広がって行くね」

キミに100%:「届け届け キミに」「キミの本気の何パーセント」

ファッションモンスター:「いい子でなんていたくないって キミもそうでしょ」

のりことのりお「きみの場所はどのあたり?」

ヤスタカからきゃりーぱみゅぱみゅへ宛てる意味でのキミへなのか、きゃりーぱみゅぱみゅからかつての自分自身のようなキミへなのかを明確にすることはできませんが、育っていくきゃりーぱみゅぱみゅを見守る大人として楽しむことも、きゃりーぱみゅぱみゅからのメッセージとしても楽しめるようになっています。

その一方で、なりたかった自分になれた今を楽しむ歌詞も増えていきます。全体的に意味をなさない「み」や「インベーダーインベーダー」のシッチャカメッチャカさ、アイスが食べたかったということをそのまま伝える「さいごのアイスクリーム」は文字で見ると結構なインパクトがあります。そこに言葉はあろうとも、伝えたいメッセージは無い・もしくはただ事実を述べて終わってるんです。

ふりそでーしょん」にて成人を迎えるアルバム終盤。ラストナンバー「おとななこども」これは題名の大人な子供という言葉が曲中一度も歌詞になって出てくることがないのも捻りが効いてますね。「キミはきっと ほんのちょっと おとななことも わかった気がしたよ」「イタズラでなんか知的 そんなキラキラしたままがいい」と何か・もしくは誰かを名残惜しむような歌詞がリフレインして終わっていくのです。

あぁ、ついにきゃりーぱみゅぱみゅが大人になってしまった。

 

そして次回作7月9日発売の「ピカピカふぁんたじん

それまで自分が自分であることに執着し、宇宙人やモンスターなどの内的世界の住人と付き合っていた女の子は「もったいないとらんど」で誰かと二人で行動することを選び、「夢のはじまりんりん」で夢を叶えるために「ボクだけの部屋」から旅立ち、「ファミリーパーティー」で家族を歌にするようになりました。シングル曲だけ見ても、この外の世界への開きっぷりです。うっかり泣きそうになりますよ。

大人になった彼女はどこへ向かうのか?

それは今年のマニフェストとして表明した「スーパーきゃりーぱみゅぱみゅへの進化」を見守ることにしましょう。

追記:書いていて気づいたんですけど、もったいないとらんどってNIGHT LAND=夢の世界のことだったんですね