ノベツマクナシ

低所得者層にいます

ファンから紐解くアイドルのアーティスト化 その実例としてのPerfume・モーニング娘。

かつて私は過去の記事でアイドルもアーティストも関係ないし、本人の歌なりパフォーマンスに吸引力・説得力があるかのほうが大事だと結論づけました。ですが今も時々この問題「アイドルとアーティストの線引き」について考えます。

マドンナやマイケル・ジャクソンビートルズなどいわゆるアーティストがアイドルとして成立する一方、なぜアイドルはアーティスト足り得ないのでしょうか?

女性ファンの多い女性アイドルなんて今やそこら中にいます。AKBや乃木坂46、でんぱ組や℃-ute・・・それでも未だに同性のアイドルのファンを公言すること自体何かしらのハードルを超えなければならない雰囲気が漂っています。なぜ同じファンなのに、アイドルとアーティストの2つではイメージが変わり、また前者のファンはアイドルオタク・信者といった呼び名が付随してしまうのでしょうか?

アイドルのアーティスト扱いがなぜ成立し得ないのか、または何が原因でそれを許さないのか。それを考えていく内に辿り着いた私なりの答えは本人の年齢や音楽的な技術の熟練度、作詞作曲をしているか否かではなく、そのアイドルのファンに対するイメージがオタクっぽいかそうでないかだという点でした。

 つまりアイドルファンが他の歌手やパフォーマーのファンと同一視されない理由は一般的に連想されるアイドルファンが他のジャンルの歌手のファンとはあきらかに違う特徴的な行動や外見をしているからです。具体的に例を挙げるとライブ中のコールやMIX(メンバーの名前を呼ぶ・決まり文句を叫ぶ・うりゃ/おいで交互に煽るなどの行為)の文化とサイリウム・Tシャツ・法被を始めとする統一化された外見です。

逆に言うと、この点をいかに薄めつつ既存のファンを納得させるかによって普段アイドルに対して抵抗がある人たちを新規ファン層を取り込むきっかけに繋がるのではないでしょうか?そして上手く適応したのがPerfumeです。

Perfumeのチームはポリリズム以降メジャー化していくなかで曲中のコールを「PTAのコーナー」というワンコーナーや「ジェニーはご機嫌ななめ」といった決まった曲に絞っていったこと、また、コンサートなどでも演出に力を入れることで公演中のサイリウムの使用禁止を合理的に勧めたのも大きな要因です。もとより現在のアイドルグループで広く採用されているメンバーカラーTシャツなど、メンバーを元にしたグッズ展開をしなかった*1のも功を奏したのでしょう。

こういった流れを踏まえた上でPerfumeは自身のファンからアイドルファンを連想した時に浮かぶ法被などの特徴的な外見やコール・サイリウムを降るなどの行為から引き離すことに成功したのです。

つまりアイドルがアーティストに見られるか(一般層へ浸透していくか)どうかは、そのグループのファンのイメージにオタクっぽさが見られないか、もしくはオタクっぽさが薄まっていく過程を経ているかによって決まります

ここまで書いてきましたが、アイドルが一般層への認知を広めていく・支持を集めていく方法としてこれがいつも有効かと言われるとそうではありません。むしろファン自体を変えようとする行為は既存のファンや古参と呼ばれる古くからのファンの反発を誘発してしまう諸刃の剣です。例としてはハロープロジェクト全体が取り組んでいるクールハローという方向性です。

2013年のハロープロジェクトに所属するモーニング娘。を始めとするグループ全体に広がっていったクールハロー。ジャケット写真やプロフィール写真ではオリジナル衣装のみならず既製品を使う、PV監督の変更、コンピアルバムの写真には写真家であるレスリー・キーを起用等凄まじい勢いでオシャレ化がすすんでいきました。

一方同時進行で路線変更を余儀なくされたのはファングッズです。メンバーのイメージカラーを基調にした複数種類のTシャツやグッズなどが実質一本化され、同じ色の生地にワンポイントのメンバーカラーをそれぞれ印刷し種類を稼ぐ、向こう側が透けて見えるとまでいわれた薄さの生地を採用などダイレクトに低コスト化+均一化されました。本来の目論見では昨年のモーニング娘のライブ会場はグレー一色に染まるはずでしたが、既存のファンはそれまで発売していたTシャツを再利用し、例年通りライブ会場にはカラフルな光景が広げることでファングッズのクールハロー化へ反発を示すという結果になりました。

まとめ

ファンが育ててきた文化やアイドルとしての歴史が長くなればなるほどそこからの方向転換は難しくなっていくのでしょう。ソロアイドルはビジュアルイメージの変化で、グループアイドルはメンバーの卒業・加入で節目を付けることにより新陳代謝と方向転換を補ってきました。ですがファンの新陳代謝・方向転換となると両者ともに共通した問題を抱えています。いかに両者を納得させつつ新しい色に馴染ませていくかです。

最終的にはそういった新規ファンと古参ファンの同一化できるかどうかを巡ってライブの演出を洗練化させたり、公式側がコールのガイド・練習動画を上げたり、逆にファンも自主的に魅力を詰め込んだダイジェスト映像をYouTubeにアップロードしているんですね。

いやー・・・アイドルって本当に面白いですねぇ。

 *1:メンバー考案グッズなどファングッズとしての展開は存在していたが、USBメモリや眼鏡などアクセサリーサイズのものが多く、日常使いを基本としていた。