ノベツマクナシ

低所得者層にいます

Perfumeがひっそりやり遂げたビジュアルイメージの変換

ずっと書きたかったけど避けていたことについて。

それはPerfumeの衣装の路線変更について。*1

 

私はPerfumeのアイドルとしての戦略を

ポリリズム発表のブレイク後(2007年末)~シングル「ねぇ」発売時期(2010)

レーザービーム(2011)~現在 この2つに分けています。

記事前半はこの2つの時期の私なりの解説 後半は愚痴です。

 

前半1・オシャレなアイドルとしてのPerfume誕生

ポリリズムの大ヒット以降、Perfumeについて回った言葉、それは「一発屋」。

その言葉を払拭するにはより多くの固定客及び新規客の確保が必要でした。そしてPerfume陣営がとった策は、当時のアイドル=半端モノ・ダサいという共通認識を逆手に取った、アイドルなのにカッコイイ・アイドルなのに本格的という新しいイメージ戦略です。楽曲のクオリティの高さや当時では珍しかったアイドルのロックフェス参戦、芸能人によるファンアピールを始めとする普及活動、女性に受け入れやすいハイブランドを始めとするオシャレさをアピールする作戦です。その方針に齟齬無く正解を出せるスタイリスト、それは内沢研(ファン内での呼び名は研さん)です。

はっきりいいます。Perfumeの女性ファン獲得はカレの手腕ありきです。

さて、Perfumeが本格的に世間に対し大々的に「オシャレ」を打ち出したのは、シークレットシークレット(PVではスタジオ衣装・私服衣装含め7着の着替え)が収録されたGAME及びGAMEツアー以降、つまり2008年のシングルLove the worldです。鮮やかな紅白のジャケット(agnes b)に黒のロングブーツ、タイツにパンプスと三者三様に変化をつけ、尚且つジャケットではモノクロでモードにきめています。

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このシングル以降、ヘルコビッチ・アレキサンドレやイーリーキシモトツモリチサト、TOGA、アンダーカバー、マリメッコと次々にブランドものの既製服を採用しています。どれも個性的なデザインですが、ミニ・スカート、ワンピース、ホットパンツのルールに加え、メンバー全員が黒髪というわかりやすい共通点を作ることでバラバラの衣装から統一感を出しています。これらをもってオシャレな衣装として認識させつつ、アイドルのコスチュームではないと、コスプレではないと思わせることに成功しているのです。

このコスチューム感のなさこそがPerfumeをアイドルではなくアティストだと言わせる源のひとつとなっています。

 

前半2・オシャレなPerfumeから、カッコイイPerfume

Perfumeは2011年を区切りにガラッと、そしてひっそりと方向性を修正しました。シングルで言うとレーザービームからになります。レーザー ビーム以前のミニ・スカート&ワンピース&ショートパンツ&黒髪の二本柱に美脚が加わり、脚がPerfumeのキーワードに入った時から、あ~ちゃんのワンピースは撤廃、度々登場したロングブーツもダンスのシンクロ効果を高めるため、三者ともに同じハイヒールへ変更されました。  

そしてなにより大きいのが既製服を使った衣装から手作り衣装へと変わったことです。

これによりジャケットやPVでの衣装とフェス・ライブでの衣装が統合化され、より一層シンプルなPerfumeというイメージを作り上げました。つまりブランド服を着せることによる、同年代の女性がアイドルファンになる敷居を下げるための戦略の廃止でもあったのです。そのオシャレ振り幅を作る必要もないほどPerfumeはイメージを向上させ、安定化に成功したとも言えます。

 

チームPerfumeによるオリジナル衣装の特徴として

  • ボディスーツのようにピッタリとしていること
  • 全員が足を極度に露出させている
  • 帽子・タイツ・アクセサリーの排除
  • あ~ちゃん/ミニスカート かしゆか/マイクロミニ のっち/ペプラムシルエット

この4つを基本としています。季節感が無くなり平面的で簡素なスタイルによってより近未来的な存在を思わせる非現実性が強調されています。

今年の下半期からはTV番組でのパフォーマンスもついにハンズフリーマイクに切り替わったことも関係しています。MIKIKOの手がける数学的な動きの繰り返しや対称に広がるフォーメーションも相まって、パフォーマンス中シルエットだけが躍動するその姿はCGキャラクターを見ているような気持ちになるのです。

私は、今のPerfumeを記号化を極めた結果であり、人がどれだけモノ・概念へと近づけるかというアプローチの産物だと思っています。初音ミクを始めとするモノがどれだけ人に近づけるかというアプローチの真逆を行く、といえばわかりやすいでしょうか。

その一方でPVに登場するメンバーに明確なキャラクター性が持ち込まれ始めたということも重要です。
現在の衣装路線でも比較的評価の高いSpring of Life・Spending all My timeに共通しているのはPVのストーリーラインとビジュアルのバランスがうまく取れているということです。女スパイ・アンドロイド・サイキッカー・探偵・魔法使い・・・これらのわかりやすさは既製服は出しづらかったものであり、わかりやすいアイドルコスチュームとして避けていたものです。

そう、今の衣装は以前の戦略の真逆を行く、コスチュームとしての衣装です。そして3人全員を・視覚化した振り付けと楽曲を・演出を同時に観てもらうための衣装。もはや衣装の個性付けはメンバーをオシャレに見せるものではなくなったのです。今組んでいるライゾマティクスやMIKIKO氏の近未来的・非現実的な世界観を遺憾なく発揮するためには、既製服は現実感がありすぎるのでしょう。

そういったわけで今のPerfumeは極力私服としての要素を排除した衣装=コスチュームを重点的に使用している逆転現象が起きているのです。

しかしながらこのコスチューム感がもたらすPerfumeのアイドルっぽさは明確にキャラクタライズされたプロモーション映像でしか発揮されず、そういった要素の無いPVやライブ、フェスなどで着るオリジナル衣装ではむしろフィギュアスケート選手のようなアスリートっぽさ、スポーツウェアのような味気無さへと転化しています。

アイドルとしての可愛さを楽しむ要素がひとつなくなったようなもの。この華美だけどオシャレだと言う程でもない衣装こそが一部のファンの不満の元となっています。

 

 

 ここからは私の愚痴です。

私はただカワイイPerfume・カッコイイPerfumeが見たい。

そのためなら同じ衣装でもいいからちゃんと手の込んだモノが見たい。

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上は2010年Mステクリスマスライブ 下は2013年Mステクリスマスライブの衣装です。

そう、今の衣装路線になってからはピンと来ないと思うことが増えました。

事の発端は今年のフェスで「衣装の生地から糸がほつれていてステージ上でそれを切った」という事件。ワールドツアーでものっちの衣装の袖口が壊れ、しかもそれが映像として残っていたりと、衣装としての質をないがしろにしていると取られかねない状況が続いたことがきっかけに、一部のファンを中心に不満が続出しました。

それくらい見覚えのあるパターンの使い回しが多く、冬でも生足+ハイヒールの季節感の無さがより一層既視感を煽るという悪循環。そういったわけでフェスやライブ・TVでのパフォーマンス時に着るその場でしか楽しめないオリジナル衣装がどうにも楽しめない。ただこう思うようになりました。どうして一度しか着ないオリジナル衣装なのにいつも同じに見えるんだろう。

つまりせっかくのオリジナル衣装を取っ替え引っ替えしてもモチーフや大元のデザインに変化がないので衣装替えの意味をなしてないんですよね。スカート丈の長さであったりカラータイツ・色んな種類のパンプス・ブーツ・ヘッドアクセサリーと現在のPerfumeのウリを妨げるモノだと思っているであろう要素こそが変化付けのカギだったわけです。

デザイナーに外注する衣装でさえも似たような雰囲気になるということはチーム全体が新しいイメージを育て、守ろうとしているのでしょう。それは間違ってはいないけれど、あれだけオシャレでバリエーション豊かだったPerfumeなのに、そのオリジナル衣装の方向だけに絞るのはもったいないという思いも捨てられない。

チームPerfumeは今こそ、黒髪・3人の衣装分けこそが伝統であって、美脚アピールのための生足やシンクロアピールのためのタイトシルエットは伝統による副産物だということを思い出して欲しい。私は生足とシンクロ具合だけを見にライブへ行くんじゃない、私はそれらをひっくるめたカワイイ・カッコイイPerfumeが見たいんだ。