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ノベツマクナシ

低所得者層にいます

Perfumeひいてはアイドルが未だにニセモノ扱いされることについて

アイドルは本物じゃない・自分で作っているミュージシャンと一緒にするのはおかしいという意見について考えていたらどうしても書きたくなったので、とりわけPerfumeにのみ絞り、彼女たちがよく突っ込まれることTOP3について書こうと思う。

1・Perfumeって歌声を加工してるし「本物」じゃないよね

Perfumeのインディーズ時代を除く歌の多くは加工を施されています。中田ヤスタカ氏による楽曲はエレクトロニカ・テクノといったジャンルにあり電子音で作られています。それは非常にコンピュータらしい人工的な音楽になっています。そして中田ヤスタカ氏本人の考えのもと、よりフラットで感情を込めすぎない歌い方のもとレコーディングされています。

ヤスタカ氏は過去のインタビューにて

「(歌手的な意味での)アイドルに興味が無い、アイドルやその周りにいる人と初めて関わる上で何かするなら音楽的に新鮮味のあるものでないと」

「感情がこもってないのにこめてる歌い方がパターン化されていて、そういう歌い方が好きではない」

「自分自身の中から出てくるものでないと意味が無い、なのでまずは平らにするところから始める」と答えています。

なぜヤスタカ氏は声に加工をかけるのでしょうか?それは彼自身が重要視しているのは彼の作る楽曲そのものだからです。今までのポップミュージックは生歌や歌唱力に依存しがちでした。ある意味では彼はとても自己中心的です。声を担当するシンガーのコンディションに自分の楽曲のクオリティが左右される事態を避けているわけですから。

そういった理由も踏まえつつ、生歌ありきで楽曲を作ることよりも全体的な調和や音の並びという面での均一化された音楽のクオリティを目指したのです。彼は度々「声も楽器のひとつ」と表現しています。アーティスト本人を引き立てる伴奏であったオケを、メロディを補佐する役割から曲そのものを表現する主役にまでひきずり出したということです。

 

2・Perfumeって口パクだよね どこがいいの?

長い間支持されていた歌姫やシンガーソングライターといった技術や才能に価値を見出す音楽シーンで口パクは歌っていないどころか「手抜きをしている」と見なされがちです。そういった才能の上に鍛錬を重ねている彼らと同じ目線でPerfumeを見ると彼女たちは全然凄くないし、意味なさないマイクをもって飛んだり跳ねたりしているだけかもしれません。しかしそれは鍛錬や才能、技術を売りにした彼らが口パクでパフォーマンスをすることが問題なのであって、Perfumeはその土俵自体にあがっていないのです。

ずるい言い方かもしれませんがプロデューサー自身が所謂シンガーのような歌声で歌う必要がないと判を押してしまう以上、彼女たちに技術的な意味での実力は必要なくなってしまうのです。声を加工し、生歌を披露することが目的でなくなった彼女たちに、メジャーシーンで活躍する実力派シンガーと同じものを求める意味ってありますか?

彼女たちに対しパフォーマンスにおいての歌唱力という要望は意味をなさなくなりました。じゃあ彼女たちはステージで何をやっているの?口パクで歌うアイドルの何を見ファンは見ているの?と思うでしょう。

かんたんに言ってしまえば振り付けと演出、楽曲そのものです。彼女たちはステージ上で踊ることによって曲に視覚的な効果をもたらすためにいます。Perfumeの魅力の大きな部分を担う振付については以前書きましたので[「Perfumeとももクロのダンスを見て考えた」を読んで - ノベツマクナシ]そちらに目を通していただくとします。ファンは耳で音楽を楽しむのと同じくらい、振付の展開や動きの面白さを目で楽しんでいるのです。

私がPerfumeファンをやっていて今ももどかしいと思うのは音楽番組においてのマイクパフォーマンスです。これこそがPerfumeの口パクについての論争の火種となっていると思います。テレビ番組でのパフォーマンスの内ほとんどがマイクを持ちうすく生歌を被せる方式で披露していますが、この口パク扱いされた時の予防線としての行為がとてももどかしい。どっちなんだと。パフォーマンスを見て欲しい、全体を見て欲しいとメンバーに言わせつつも、未だに振り切れていない中途半端さはPerfumeの弱みだと思います。最近(2013年以降)はヘッドセットでのパフォーマンスや衣装の統一化など地上波での音楽番組にもライブパフォーマンスと同じものを取り入れ始めています。

3・Perfumeが凄いんじゃなくてスタッフが凄いんじゃないの?

最近になってよく見る意見がこれです、ライゾマティクスをはじめとする演出面での新しさが取り沙汰されるようになり、Perfumeは何もしていない。踊っているだけといわれる始末 悔しい!

ではPerfumeとは別に他の誰がやっても何ら変わらないのでしょうか?ちがいます、取替え可能な期間はとうに過ぎ去ったからこそ、スタッフはPerfumeに自分の持っているモノを100%託すことが出来るのだと思います。何もしていないのではなく、アイドルとして余計なことは何もしていないのです。それはかつてのっちが答えたアイドルとは何かという質問に集約されます。

「事務所の方針に、ちゃんとあったことを、作曲も作詞もしないで、出されたものをぱっとやるのがアイドルだよ」

Perfumeは出されたものをぱっと出来るよう、トレーニングを怠らなかっただけです。

 

奇しくも松任谷由実も、作詞をしてみたいと相談してきた松浦亜弥に同じような回答をよせています。引用元(松任谷由実×松浦亜弥 - ぼくのにっきちょう

松浦:・・・)なんかやっぱりこう、自分の思う気持ちっていうものを歌いたいなぁと、思っているんですが。

松任谷:いやぁ、厳しいこと言うようだけど、妙にしない方がいいよ、作詞とか。

松浦:えぇ、そうなんですか?

松任谷:うん、その方がカッコいい。人が書いてきたものを、自分のものにしちゃって歌えるっていう方が素晴らしいと思う。

中略

松任谷:別に、人が作ったものでも、自分のでも関係ないと思う、私は。で、その吸引力を持つことが大事だと思う。

この一言に辿り着くまで随分長い時間がかかった。何も作り出さないアイドルは偉くないのか、何かを作る人はそんなに偉いのか。技術さえ凄けりゃ偉いのか、これらのくだらないジレンマも今はもう無い。

私がずっとアイドルを否定する人に言いたいことはこれでした。別に、人が作ったものでも、自分のでも関係ないと思う、私は。で、その吸引力を持つことが大事だと思う。